もりた眼科クリニック

  • 緑内障・一般眼科
  • 東京都府中市寿町2-4-42 COOP3階 府中寿町医療モール

近視・遠視・老視

近視(子供から大人まで)と目の病気

近視

子供の近視、特に小学校低学年から近視になる子供が最近急増しています。子供をとりまく環境の変化、生活様式の変化が原因と考えられており、日本のみならず世界的な問題になっています。
近視は「見えなくなったらメガネをかければいいや」と思うほど、実は単純ではありません。近視になると将来、緑内障や網膜剥離や黄斑変性症など近視以外の病気になる可能性があります。これらの病気は、近視の度数が強いほど危険率が上がります。子供の頃に近視を発症させない、そして進行させない事が大事です。

近視とは

眼球の形が長くなるか、角膜・水晶体の光の屈折力が強くなることにより、ピントの合う位置が網膜より前になっている状態です。近視になると近くのものはくっきり見えますが、遠くのものがぼやけて見えます。

近視の原因

遺伝および環境が大きく影響します。

1.遺伝による影響
  • 近視でない両親よりも、近視の両親から生まれた子供は、近視になる確率が高いです。
  • 親の近視の程度が、子供の近視の程度に影響します。
    遺伝子は遠い祖先から受け継がれるので、両親に強い近視がなくとも祖父母や曾祖父母から受け継いだ遺伝子の中に、強い近視になるものが含まれていることがあります。たとえ両親とも近視ではなかったとしても、安心はできません。
2.環境による影響
  • 近いところを長時間見ていると、近視が進行します。近年、スマホやタブレット等近くを見る作業の増加に伴い、一生近視が進行し続ける方が多いです。
  • 世界中で注目されている原因の一つに、子供の「外遊び」の減少があります。日光にあたる外遊びが少ない子供は、近視になりやすいと言われています。

分類

1.単純近視
学校近視や学童近視と言われていましたが、未就学児でも近視が増えてきました。最近の統計では、幼稚園児の約1/4、小学生の約1/3、中学生で約1/2の生徒が近視です。成長に伴う目の変化で遺伝や環境が原因と言われていますが、親世代の近視の増加や近年のスマホ・タブレット使用により、遺伝・環境様式が昔より変化しています。子供の近視はもはや「単純」ではなくなってきており、近視の度数も徐々に進行することが多いです。
2.病的近視と強度近視
近視が低年齢である程進行しやすい特徴があり、強度近視に至る可能性があります。強度近視になると、将来緑内障・網膜剥離・黄斑変性などを発症する危険性が高くなります。
強度近視の一部は病的近視に進展することがあり、眼軸が異常に長くなり近視の度が強いため、眼鏡をかけても見づらいという状態になります。病的近視になると目の病気がさらに重症化するだけでなく、様々な病的近視特有の病気(近視性脈絡膜新生血管、近視性網脈絡膜委縮、近視性牽引黄斑症など)を生じるため、将来視覚障害になる危険性が高くなります。

近視と目の病気

近視度数ごとに、将来、目の病気に罹患する比を示します。例えば、軽度の近視であっても、近視がない場合と比較して、緑内障になるリスクは4倍も高いことがわかります。

近視度数 白内障 緑内障 周辺部網膜変性 網膜剥離 近視性黄斑症
弱度近視
(-1~-3D)
2倍 4倍 6倍 3倍 2倍
中等度近視
(-3~-6D)
3倍 4倍 18倍 9倍 10倍
強度近視
(> -6D)
5倍 14倍 40倍 22倍 41倍
 D = 屈折度数

近視の治療

遺伝&環境が主な原因なので、「近視にはずばりこれっ!」というような治療は正直なかなかありませんが、点眼治療に関して挙げておきます。

トロピカミド点眼液(トロピカミド点眼液・ミドリンM点眼液)

若い頃は調節をする力が発達しており、長時間近くのものを見ていると調節に関わる筋肉が緊張し、近視化します(仮性近視)。トロピカミドには調節を麻痺させる作用があり、筋肉の緊張がほぐれ、一時的な近視化を改善させるというものです。保険適応の薬であり、昔からよく使われています。

  • 適応
    仮性近視や軽度の近視に適応となります。大人の眼精疲労に対しても、良い適応です。
  • デメリット
    副作用として充血・散瞳・調節麻痺がありますので、寝る前に点眼します。症状が出る時間は数時間ほどですので、寝る前に点眼して起きた頃には回復しています。
    調節緊張による一時的な近視化を改善するのみで、近視進行抑制とまではいきません。

下記アトロピンのような眼軸伸展抑制効果はありませんので、数年単位で長期間点眼することはまれです。

低濃度アトロピン点眼薬(リジュセア®ミニ点眼液・マイオピン点眼液)※当院では処方しておりません

近視の悪化原因の1つに、目の大きさ(眼軸)が伸びることが挙げられます。アトロピンがもつ眼軸の伸展を抑えるという効果により、近視の悪化を防ぐというものです。自由診療扱いとなります。

  • 適応
    日本での点眼治験対象が5〜15歳であり、基本的には小・中学生が適応になります。特に、将来強度近視になりそうな小児(両親ともに近視・近視悪化スピードが速い場合)には良い適応です。
  • デメリット
    副作用として、散瞳と調節麻痺が挙げられます。低濃度ではありますが副作用の出方には個人差があり、持続時間の長いアトロピンですので副作用も持続します。治験では9%の小児がまぶしさを訴えたとのことですが、実際の臨床では治験結果よりも症状が顕著に出ることが多く、もともと小児は瞳孔が大きめにて、まぶしさは懸念される副作用の1つと考えらえます。
    自由診療というのは、かなりネックにはなります。点眼効果には個人差がありますし、リバウンドを考えると長期治療継続が必要になります。国民皆保険の日本において小児は医療費助成がありますが、低濃度アトロピン点眼薬による治療は保険適応外ですので相当な額がかかります。日本人の人口が減少している中、小児の健康を考える事はとても大事です。個人的にはかなり興味のある薬ですので、早期に保険適応となることを望みます。

近視予防に効果がある(と言われている)こと

  • 屋外では、日光にあたり、外で遊ばせることがいいと言われています。ただ、熱中症や紫外線の心配もありますので、建物の影や木陰でも屋外であればOKです。
  • 屋内では、少なくとも30cm以上離して勉強・読書・スマホ・タブレットなどを見ること&30分に一度は遠くを見ることがいいと言われています。近くを見る時は、十分な明るさを保つ(照度計で200ルクス以上)のも大事です。

遠視

遠視は、目の長さ(眼軸)が短いため網膜でピントが合わず、光が網膜より後ろでピントを合わせている状態です。若いうちは、水晶体(レンズ)の調節力(レンズが膨らむ事)により、網膜より後ろにずれたピントを網膜上に移動させることができるうちは、視力が良好です。

加齢による変化

  • 眼精疲労&老眼を早く感じます
    調節をするための筋肉が痛むと「眼精疲労」・衰えると「老眼」。本来ピントが合っている目ではないので、老眼になると近方だけでなく遠方も見づらくなってしまいます。
  • 乱視が強くなります
    遠視のピントずれを乱視で代償することがあります。乱視が強いと眼鏡が合わないことや、白内障手術を行っても乱視が残り裸眼視力の低下を招く恐れもあります。
  • 閉塞隅角緑内障になりやすいです
    眼軸が短い遠視の目は、目の中の水が出ていく角度(隅角)が狭くなることがあります。隅角が閉塞してしまうと、眼圧が急上昇します。

遠視の方は普段よく見えているので、眼科受診歴があまりないと思います。ただ、上記のようなことが起こる可能性があり、注意が必要です。全ての病態を表記するのは難しいので、ご来院いただければ詳しくご説明いたします。どうぞお気軽におこし下さい。

老視

老視

老視(老眼)は、40歳前後から始まる目の老化現象です。
加齢によりピント合わせをしている水晶体周囲の筋肉が衰え、近くが見えにくくなります。近くが見えにくくなっているのに無理をして見ていると、目の疲れ、頭痛、吐き気などの症状が現れます。

近視の人は、もともと近くにピントが合っているため老視に気づきにくいですが、眼鏡やコンタクトレンズなどで遠くにピントを合わせた状態で近くを見るとぼやける場合、それが老視です。

ただ、視力の低下を「老視だから」と自己判断していたら、実は緑内障や加齢黄斑変性などの病気が隠れている場合もあります。目がかすんだり、何となく見えにくいと思われる方は、お早めにご相談ください。

近視・遠視・老視

近視(子供から大人まで)と目の病気

近視

子供の近視、特に小学校低学年から近視になる子供が最近急増しています。子供をとりまく環境の変化、生活様式の変化が原因と考えられており、日本のみならず世界的な問題になっています。
近視は「見えなくなったらメガネをかければいいや」と思うほど、実は単純ではありません。近視になると将来、緑内障や網膜剥離や黄斑変性症など近視以外の病気になる可能性があります。これらの病気は、近視の度数が強いほど危険率が上がります。子供の頃に近視を発症させない、そして進行させない事が大事です。

近視とは

眼球の形が長くなるか、角膜・水晶体の光の屈折力が強くなることにより、ピントの合う位置が網膜より前になっている状態です。近視になると近くのものはくっきり見えますが、遠くのものがぼやけて見えます。

近視の原因

遺伝および環境が大きく影響します。

1.遺伝による影響
  • 近視でない両親よりも、近視の両親から生まれた子供は、近視になる確率が高いです。
  • 親の近視の程度が、子供の近視の程度に影響します。
    遺伝子は遠い祖先から受け継がれるので、両親に強い近視がなくとも祖父母や曾祖父母から受け継いだ遺伝子の中に、強い近視になるものが含まれていることがあります。たとえ両親とも近視ではなかったとしても、安心はできません。
2.環境による影響
  • 近いところを長時間見ていると、近視が進行します。近年、スマホやタブレット等近くを見る作業の増加に伴い、一生近視が進行し続ける方が多いです。
  • 世界中で注目されている原因の一つに、子供の「外遊び」の減少があります。日光にあたる外遊びが少ない子供は、近視になりやすいと言われています。

分類

1.単純近視
学校近視や学童近視と言われていましたが、未就学児でも近視が増えてきました。最近の統計では、幼稚園児の約1/4、小学生の約1/3、中学生で約1/2の生徒が近視です。成長に伴う目の変化で遺伝や環境が原因と言われていますが、親世代の近視の増加や近年のスマホ・タブレット使用により、遺伝・環境様式が昔より変化しています。子供の近視はもはや「単純」ではなくなってきており、近視の度数も徐々に進行することが多いです。
2.病的近視と強度近視
近視が低年齢である程進行しやすい特徴があり、強度近視に至る可能性があります。強度近視になると、将来緑内障・網膜剥離・黄斑変性などを発症する危険性が高くなります。
強度近視の一部は病的近視に進展することがあり、眼軸が異常に長くなり近視の度が強いため、眼鏡をかけても見づらいという状態になります。病的近視になると目の病気がさらに重症化するだけでなく、様々な病的近視特有の病気(近視性脈絡膜新生血管、近視性網脈絡膜委縮、近視性牽引黄斑症など)を生じるため、将来視覚障害になる危険性が高くなります。

近視と目の病気

近視度数ごとに、将来、目の病気に罹患する比を示します。例えば、軽度の近視であっても、近視がない場合と比較して、緑内障になるリスクは4倍も高いことがわかります。

近視度数 白内障 緑内障 周辺部網膜変性 網膜剥離 近視性黄斑症
弱度近視
(-1~-3D)
2倍 4倍 6倍 3倍 2倍
中等度近視
(-3~-6D)
3倍 4倍 18倍 9倍 10倍
強度近視
(> -6D)
5倍 14倍 40倍 22倍 41倍
 D = 屈折度数

近視の治療

遺伝&環境が主な原因なので、「近視にはずばりこれっ!」というような治療は正直なかなかありませんが、点眼治療に関して挙げておきます。

トロピカミド点眼液(トロピカミド点眼液・ミドリンM点眼液)

若い頃は調節をする力が発達しており、長時間近くのものを見ていると調節に関わる筋肉が緊張し、近視化します(仮性近視)。トロピカミドには調節を麻痺させる作用があり、筋肉の緊張がほぐれ、一時的な近視化を改善させるというものです。保険適応の薬であり、昔からよく使われています。

  • 適応
    仮性近視や軽度の近視に適応となります。大人の眼精疲労に対しても、良い適応です。
  • デメリット
    副作用として充血・散瞳・調節麻痺がありますので、寝る前に点眼します。症状が出る時間は数時間ほどですので、寝る前に点眼して起きた頃には回復しています。
    調節緊張による一時的な近視化を改善するのみで、近視進行抑制とまではいきません。

下記アトロピンのような眼軸伸展抑制効果はありませんので、数年単位で長期間点眼することはまれです。

低濃度アトロピン点眼薬(リジュセア®ミニ点眼液・マイオピン点眼液)※当院では処方しておりません

近視の悪化原因の1つに、目の大きさ(眼軸)が伸びることが挙げられます。アトロピンがもつ眼軸の伸展を抑えるという効果により、近視の悪化を防ぐというものです。自由診療扱いとなります。

  • 適応
    日本での点眼治験対象が5〜15歳であり、基本的には小・中学生が適応になります。特に、将来強度近視になりそうな小児(両親ともに近視・近視悪化スピードが速い場合)には良い適応です。
  • デメリット
    副作用として、散瞳と調節麻痺が挙げられます。低濃度ではありますが副作用の出方には個人差があり、持続時間の長いアトロピンですので副作用も持続します。治験では9%の小児がまぶしさを訴えたとのことですが、実際の臨床では治験結果よりも症状が顕著に出ることが多く、もともと小児は瞳孔が大きめにて、まぶしさは懸念される副作用の1つと考えらえます。
    自由診療というのは、かなりネックにはなります。点眼効果には個人差がありますし、リバウンドを考えると長期治療継続が必要になります。国民皆保険の日本において小児は医療費助成がありますが、低濃度アトロピン点眼薬による治療は保険適応外ですので相当な額がかかります。日本人の人口が減少している中、小児の健康を考える事はとても大事です。個人的にはかなり興味のある薬ですので、早期に保険適応となることを望みます。

近視予防に効果がある(と言われている)こと

  • 屋外では、日光にあたり、外で遊ばせることがいいと言われています。ただ、熱中症や紫外線の心配もありますので、建物の影や木陰でも屋外であればOKです。
  • 屋内では、少なくとも30cm以上離して勉強・読書・スマホ・タブレットなどを見ること&30分に一度は遠くを見ることがいいと言われています。近くを見る時は、十分な明るさを保つ(照度計で200ルクス以上)のも大事です。

遠視

遠視は、目の長さ(眼軸)が短いため網膜でピントが合わず、光が網膜より後ろでピントを合わせている状態です。若いうちは、水晶体(レンズ)の調節力(レンズが膨らむ事)により、網膜より後ろにずれたピントを網膜上に移動させることができるうちは、視力が良好です。

加齢による変化

  • 眼精疲労&老眼を早く感じます
    調節をするための筋肉が痛むと「眼精疲労」・衰えると「老眼」。本来ピントが合っている目ではないので、老眼になると近方だけでなく遠方も見づらくなってしまいます。
  • 乱視が強くなります
    遠視のピントずれを乱視で代償することがあります。乱視が強いと眼鏡が合わないことや、白内障手術を行っても乱視が残り裸眼視力の低下を招く恐れもあります。
  • 閉塞隅角緑内障になりやすいです
    眼軸が短い遠視の目は、目の中の水が出ていく角度(隅角)が狭くなることがあります。隅角が閉塞してしまうと、眼圧が急上昇します。

遠視の方は普段よく見えているので、眼科受診歴があまりないと思います。ただ、上記のようなことが起こる可能性があり、注意が必要です。全ての病態を表記するのは難しいので、ご来院いただければ詳しくご説明いたします。どうぞお気軽におこし下さい。

老視

老視

老視(老眼)は、40歳前後から始まる目の老化現象です。
加齢によりピント合わせをしている水晶体周囲の筋肉が衰え、近くが見えにくくなります。近くが見えにくくなっているのに無理をして見ていると、目の疲れ、頭痛、吐き気などの症状が現れます。

近視の人は、もともと近くにピントが合っているため老視に気づきにくいですが、眼鏡やコンタクトレンズなどで遠くにピントを合わせた状態で近くを見るとぼやける場合、それが老視です。

ただ、視力の低下を「老視だから」と自己判断していたら、実は緑内障や加齢黄斑変性などの病気が隠れている場合もあります。目がかすんだり、何となく見えにくいと思われる方は、お早めにご相談ください。

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